個人用途
1.偏光方式(パッシブステレオ)
偏光フィルタによって特定方向の光の振動を通過させ、左右の映像を分離する方式。視聴者は偏光メガネを装着して鑑賞する。最近では、従来の直線偏光ではなく、円偏光を用いたものが主流。直線偏光では、首を傾けると立体感が破綻してしまい、眼精疲労の原因になる問題があったが、円偏光の採用で改善された。
多くのLCD偏光ディスプレイは、有沢製作所のXpol®フィルタにより映像を偏光している。ZALMANは独自の偏光フィルタをローコストで導入することに成功した。
2.時分割方式(アクティブステレオ)
ディスプレイの表示を左画像・右画像で切り替え、液晶シャッターメガネをそれと同期させて立体視する。CRTディスプレイやプロジェクターとシャッターメガネを同期させることも可能。口述するRealD方式も時分割方式に分類され、144Hz(144コマ/秒)で画像を切り替えている。RealD方式ではこれにさらに円偏光を加える。
3.裸眼立体視ディスプレイ
メガネなしで立体視する方式。広告や街頭スクリーンなどへの採用が期待されている。
4.アナグリフ
左右映像を赤と青で分割し、赤青メガネで鑑賞する。色再現が非常に悪いので、個人で制作して楽しむのが主。
劇場用途
RealDとDolby3Dの比較
1.RealD
・144Hzの時分割+Zscreenによる円偏光
・円偏光メガネで鑑賞。
良い点
・3Dグラスが安価。使い捨てが可能。
・最大投影サイズ:47フィート(約14.3m)
悪い点
・シルバースクリーンという特殊なスクリーンが必要。5500ドル。2D映像では、中心だけ色が白くなってしまうホットスポット現象が発生する。
2.Dolby3D
・144Hzの時分割+RGB分光フィルタ
・50層のカラーフィルタメガネを装着して鑑賞。
良い点
・従来の映画館のホワイトスクリーンで上映可能。劇場内でのローテーション管理が容易。
悪い点
・3Dメガネがとても高価。使い回しができないので、専用の洗浄機などが必須。
・最大投影サイズ:38フィート(約11.6m)
なぜ3Dなのか
「ベオウルフ」や「センター・オブ・ジ・アース」など、近年では多くの3D映画が上映されており、上映予定のものも続々登場しています。なぜこれほど急激に3D映画が普及することになったのでしょうか。
まず言うまでもないのが、技術の進歩でしょう。従来の赤青メガネを用いたものは、長時間の鑑賞には堪えがたく、色再現も悪いなどの問題がありました。しかしRealDやDolby3Dの登場により、3D映画は長編の上映が可能になり、2Dと同等の画質で鑑賞できるようになったのです。
また、映画を映画館で見る人が減ってきたことも挙げられます。VHSより高画質なDVDのレンタルが当たり前となり、映画館で見ることに価値を感じない人が多くなりました。P2Pなどでも映画の海賊版が流出し、ますます映画館の存在が希薄になっていく傾向にありました。しかし、RealDなどの3D映画は、DLPプロジェクターやZscreenなどのハードウェアがあり、そこに3Dグラスをかけた観客がいて初めて成り立つ技術です。一般家庭用の3Dディスプレイなども販売されていますが、最大47フィートで投影されるrealDの迫力には程遠いものだと言えます。3D映画の世界にどっぷりつかるためには、映画館に行くしかないのです。
ライバル同士であるRealDとDolby3Dですが、Regal Entertainmentとの大型契約をしているRealDが一歩リードしていると言えます。Dolbyが一番ネックとしているのは導入コストのかかる3Dメガネであり、それが改善されたとき3D映画は一体どちらに傾いているのか楽しみです。