ZBrush Review part1(8)

8. 感想、総評

今回のレビューで個人的に感じた利点と欠点をまとめてみましょう。

利点

  1. 処理が軽く、絵を描く様にモデリングできる
  2. 最終的な形を元に簡単なオブジェクトを作成できる
  3. Divideを使用しても、処理が重くならないキャンバスの操作

欠点

  1. ラインの流れが補正できない
  2. 基本的な概念が他のCGソフトとは大きく違うのではじめは少し戸惑う
  3. UIが大きく違うので使い慣れるのに少し時間を要する

● 利点

1. 基本的な処理が軽く、絵を描く様にモデリングできる。

ZBrushは、タブレット使用を考えられており筆圧感知もでき、ブラシツールなどを使用してまるで絵を描いてる様にモデリングすることができました。また各処理が軽く、操作を行っていてストレスを感じない作りになっています。従来の3DCGソフトの様に高性能なビデオカードが必要不可欠で無いため、非常に導入し易いソフトかと思います。

2. 最終的な形を元に簡単なオブジェクトを作成できる。

従来のオブジェクトの制作では 低ポリゴンでオブジェクトを作成

-> サブディビジョンをかけてスムーズにするというのが一般的でしたが、ZBrushでは 最終的なイメージを作成 ->

サブディビジョンを落として簡単なオブジェクトを作成 -> ラインなどを整えて再びサブディビジョンを行うという従来とは全く逆の工程でオブジェクトを制作することが可能です。どちらが早いのか?という問題ではなく、オブジェクト制作に複数の選択肢があるということは非常に良い事だと思います。

3. Divideを使用しても処理が重くならないキャンバスの操作

今回のレビューで試した通り、マシンの限界までオブジェクトにDevideを使用しても処理に問題はありませんでした。またキャンバスは、オブジェクトが高ポリゴンになっても、「少々もっさりしているかな?」という程度でストレス無く、回転、ズーム、パンの操作が行えました。実際は、本当に何百万ポリゴンのオブジェクトを表示してるのか疑問に思う位でした。Divideの処理を行っても、ソフトの動作が遅くならないのは非常に素晴らしいです。

● 欠点

1. ラインの補正ができない

レビューでも指摘しましたが、ZBrushは基本的に大まかな形の原型をこねたり、引っ張ったりして形を制作、整えていくため、従来のCGソフトの様な「ラインの流れ」という概念がありません。またZBrushでは、このラインの流れを正確に修正するツールが無いため、moveブラシ等で作業するしかありませんが、結局のところ根本的な解決ではないので、ZBrushで制作したオブジェクトにアニメーションを施したい場合は、悩みの種となりそうです。

2. 基本的な概念が他のCGソフトとは大きく違うのではじめは少し戸惑う

通常の3DCGソフトとは、オブジェクトの制作概念等大きく違うため最初は少々戸惑います。しかし表現が違うだけなので、使っていると「あぁ!なるほどこのことか!」という気付きがしばしばあります。またMayaの場合、オブジェクト確認画面は「ビューポート」ですが、ZBrushでは「キャンバス」になります。この様に表現が異なった場合、自分が使い慣れたソフトではどう表現するかという翻訳作業ができれば、より柔軟に対応できるかもしれません。

3. UIが大きく違うので使い慣れるのに少し時間を要する

ZBrushは、基本的に「ペイントツール」を使用して操作を行うため、そのためギズモによる頂点の移動が発生しません。頂点を動かす場合は、Moveブラシを使いますが、オブジェクトを引っ張る感じが強く、移動させてると感じづらいかもしれません。UIのボタンは、選択できるかどうかが一見して分からないボタンがあるかもしれません。またカーブエディタもグラフを編集するよりは、数値を入れ厳密に編集できたら便利かもしれません。最後に、パラメーター値代入も、フォーカスがずれ多少使いづらさを感じました。

● 総評

使用して分かった事は、ZBrushは些細ですが全ての欠点を考慮しても、余りある利点があり価格も10万円以下と非常に安価で、他の一般的な3DCGソフトと比較しても非常に優秀なソフトでしょう。CGのディテール作成で戸惑っていた方等はぜひ使ってみてはいかがでしょう?ただ、一度ZBrushに使い慣れてしまうとその使い易さから、従来の作業方法に戻れなくなる可能性もあります。:)

またこれはあくまでも個人的な意見ですが、GUIもかなりCoolなので使うのが非常に楽しいソフトです。今後も、ZBrushの素晴らしい機能を紹介していきますので、ぜひ購入を一考してはいかがでしょうか?

● 次回予告・・・

次回のレビュー「ZBrush Review part2」は1月初旬に掲載予定です。内容は以下を予定しています。

  1. Zspereによるモデリング、どのような形のオブジェクトも作成可能にする画期的なオブジェクトの作成方法
  2. スカルプティングとは?
  3. スカルプティングの方法
  4. 32ビットのDisplacementMapの説明
  5. 最近注目を浴びているNormalMapとは?
  6. NormalMapの作成

次回も宜しくお願いします。