3. スカルプティングとは?
スカルプティング(Sclpting)とは、彫刻の様にオブジェクトにディテールを追加させていく事です。前回は、スカルプトという程、細かい彫刻はせずにオブジェクトの形だけをかたどる様にZBrushを使ってみましたが、ZBrushはオブジェクトに細かな凹凸を作成するのが本来の特徴です。またZBrush3.1は、プラグイン「Projection Master」等を使わなくても、3Dブラシにアルファを使用できる仕様になっています。今回はオブジェクトに簡単なシワなど細かなの凹凸を作成してみましょう。
タブレットを用いての作業
先程の「ZSphereによるモデリング」では、タブレットでのモデリングはお奨めしませんでしたが、スカルプティングの場合は、タブレットでの作業をお奨めします。タブレットでオブジェクトの盛り上がる度合いを筆圧で感知できるため、Figure3-1の様にきれいに盛り上げる事が可能になります。一方、マウスでオブジェクトの盛り上がりを表現する場合、やはり筆圧の感知が無いのでオブジェクトの盛り上がりの表現が、Figure3-2の様になってしまい困難です。
![]() Figure3-1 タブレットを使用してスカルプティング |
![]() Figure3-2 マウスを使用してスカルプティング |
PCで絵を描くのは、タブレットでという方も多いと思いますが、ZBrushは、まさに絵を描く様にモデリングを行うソフトですので、「何かを描く」という感覚でモデリングしてみたい方は、ぜひタブレットの使用をお奨めします。またZBrushではタブレットでマウスの様にメリハリのある強弱を表現したい場合は、ストロークを変更すれば良いだけなので、やはりマウスよりはタブレットの方が向いているかもしれません。
スカルプティングの注意
スカルプティングは、あくまでもオブジェクトに絵を描く様にディテールを追加していくだけです。
以下は、スカルプティングの問題点とその対策です。
1. オブジェクトのインポート
今回はオブジェクトは、あらかじめ制作しておきました。用意したオブジェクトはUV設定を行っており、このUV設定は他のCGソフト(3ds Max)で行いました。ZBrushでは、最終的にオブジェクトのディテールをテクスチャとして他のCGソフトに出力するので、あらかじめUV設定を行っていないと、スカルプトを行ってオブジェクトに追加したディテールが台無しになってしまいます。オブジェクトのUV設定は少々特殊で、従来のCGソフトの様に各部分のUVが重ならない様な設定では無いため少々注意が必要です。これについては次回「ZBrush Review Part3」で解説予定です。
2. オブジェクトにDivideを使用してポリゴン数を分割
まずスカルプティングするため、オブジェクトにDivideを使用してポリゴン数を上げておきます。Divideはそのレベルでの作業が終了してから、段階的に上げて作業していきます。
Figure3-3 エクスポートの設定
またZBrushにオブジェクトをエクスポートするには、三角ポリゴンではなく、四角ポリゴンでエクスポートするとDivideを使用した際にオブジェクトのポリゴンをきれいに分割してくれます。3ds Maxではエクスポート時に(Figure3-3)設定を変更できるのでぜひ行っておきましょう。
3. 下のDivideから順に作業を行う
低レベルのDivideからスカルプティング作業すると、最終的に高レベルのDivideを編集しても、気付いたらオブジェクトの形が変わってしまっているといった不具合が発生しません。スカルプティングには、これだという様な絶対的な手法は無いのですが、高レベルのDivideから作業を始めてから、低レベルのDivideの編集を行うと、せっかく高レベルで編集したデータが無駄になってしまうため、必ず低レベルのDivideから編集する事が肝心です。
4. アルファの使用
ZBrush3.1から、3Dブラシにアルファを使用する事ができます。これによりZBrush2の様にアルファを使用して、ディテールを作成する際も、「Projection Master」等のプラグイン(Figure3-4)が不要になりました。
Figure3-4 Projection Master
「Projection Master」とは、アルファをブラシ等に適応させオブジェクトに反映させるプラグインですが、非常に強力なツールなのでやはり根強い人気があります。「Projection Master」や「ZMapper」は既存のメニューに同じものは用意されていますが、性能を考えるとプラグインを使った方が良いでしょう。
以上に注意して作業すれば、自分の思った通りのオブジェクトを自由に作成できるでしょう。さらにZBrushでは他に便利な小技も幾つか用意されていますが、次回のレビューにて紹介したいと思います。
次ページでは、ZBrushでディテールをテクスチャとして出力するところをみてみましょう。
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