ZBrush Review part1(4)

4. ペイントツールの概要

ZBrushタブレットを用いて操作することが可能です。ZBrushモデリングは「マウスを用いて3Dをモデリングしていく」というよりは、「タブレットを手に3Dの絵を描いていく」という様な感覚の方が近いかもしれません。そこでモデリングする際に、非常に重要になってくるのが「ペイントツール」の存在です。


Figure4-1 ペイントツールを使用したオブジェクト

ペイントツールについて説明すると、ほとんどのグラフィック系ソフトでは、ピクセルを基本的な構成単位として扱います。それぞれのピクセルにはX,Y座標とRGB値のカラー情報を持っています。ZBrushでは、ピクセルの情報にデプス(奥行き)、方向、マテリアルを加えたスマートなピクセル、「ピクソル(pixol)」を扱います。この概念によって、3Dのオブジェクトを扱うことが可能になります。

またZBrushで平面に書いた絵や文字は、先ほど説明したピクソルによって2Dではなく2.5Dの絵となります。


Figure4-2 2.5Dペイント


Figure4-3 影のついた文字

2.5Dの絵がどの様なものかと説明すると、上の画像(Figure4-2、4-3)を見ると分かると思いますが、通常の2Dの絵の場合、書いた線や文字に影はありません。しかし2.5Dの場合書いたものにZ座標の情報が含まれているので影が存在します。ただし完璧な3Dではないため、3Dのオブジェクトの様に、2.5Dに書いた文字を3次元空間をぐるぐると回すことはできません。

様々にアレンジ可能なペイントツール

ZBrushで用紙されているペイントツールは、PhotoshopPainter等のペイントソフトのブラシツールと同様にカスタマイズ可能です。ZBrushタブレットを使用して筆圧を感知し、ブラシの太さや影響力を変えたりすることができます。ブラシの基本的なパラメータはキャンバスの上部にあるパネル、またはキャンバス上で右クリックすることによってアクセスできます。


Figure4-4 ブラシの設定

先ほどの「ペイントツールの概要」で説明した通り、ZBrushは基本的にPixolを扱います。再度、説明するとPixolとはRGB、X、Y座標の情報を持つピクセルにデプス、方向、マテリアルを加えたものです。ZBrushはこれらの情報に好きなものだけをオブジェクトに加えることが可能です。例えば、ブラシを使用してオブジェクトに色を塗るだけや、面をへこませる、膨らませる、の様に細かく付加する情報を分けることができます。

上の画像(Figure4-4)に表示されているツール、Mrgb、Rgb、Mはそれらの情報を区別する際に使用するボタンです。例えばZadd、Zsubはオブジェクトを膨らませたり、へこませたりする際に使用します。「Z Intensity」は、Z座標に付加する情報の大きさを調整します。


Figure4-5 ストロークの選択画面

ブラシはこの他にもPhotoshopと同様にストロークの設定も選択できます。個人的には繊細な箇所はFreeHand、大まかな場所はDots、模様はアルファ、再現する時はSpray等を併用しています。残念ながらストロークは上記にある6種類しか無いため、新たにストロークを追加することはできません。ZBrushを使い始めは、ストローク数が少なく戸惑いましたが、しかししばらく使ってみるとZBrushはブラシにアルファを適用して使用することができるので、この6種類で十分だと感じています。


Figure4-6 デフォルトのアルファの選択

ZBrushは、ブラシにアルファを適用して使用することができます。アルファをブラシに設定することによって、細かなブラシの描画の細かな設定が可能となります。感覚としては彫刻等の刃先を変える感覚に非常に似ています。アルファはPhotoshopで作成したものをimportすることもできますし、ZBrushで新たに作成することもできます。上の画像(Figure4-6)が、はじめから用意されている全部で60種類のアルファです。さらにZBrushにはアルファの度合いを編集するカーブエディタがあります。


Figure4-7 カーブエディタ

カーブエディタ(Figure4-7)は、アルファのグレースケールの度合いを編集することができます。これにより、一つのアルファから様々な種類のストロークを作成できます。例えばアルファの度合いを逆転(黒と白を反転)したい場合は、グラフを左右反転すればいいわけです。カーブエディタにより、細かいアルファの作成は不要です。またカーブの編集データは保存することができ、アルファと組み合わせて使用することにより、標準で用意されているアルファで何百種類というパターンを作成することが出来ます。

色を塗るだけじゃなく形も変えてしまうブラシ

サブタイトルにあるように、ZBrushのブラシはただオブジェクトを盛り上げるだけでなく、形を根底的に変えることも可能です。例えば、下の画像(Figure4-8、9)の球体のオブジェクトの説明をしたいと思います。


Figure4-8 一部の箇所を盛り上げた球体 


Figure4-9 引っ張ることによって根底から形を変えた球体

上の画像(Figure4-8)の様に、ただ球体にstandartブラシツールを使用すると、球体の一部が盛り上がるだけで、球体としての基本の形を変えることはできません。但し、Moveブラシツールを使用して球体を少し引っ張ると右の画像(Figure4-9)の様に、球体が四角形に近い形となります。ZBrushでは、この機能を活かしてどの様な形でもモデリングが可能です。最初は、Standartブラシツールだけで作業を行っていたので、なかなか思い通りの形にならなかったのですが、Moveブラシツールを使ってみると、その後は非常に効率よくモデルが作れる様になります。

次ページでは、このブラシツールを活かして、球体から人の顔のオブジェクトを作る例をご紹介します。

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