Zbrush Review Part1
今回は最近話題のCGソフト、ZBrush3.1のレビューです。ZBrushは、日本でも株式会社オーク様から発売されています。
レビューは、以下の全三回となります。
- part1 ZBrushの説明、インターフェイスの説明、それぞれの処理の重さ、ZBrushを使用してのモデリング
- part2 ZSphereのよるモデリング、スカルプティングの概要説明、方法、NormalMapとは?
- part3 ZBrushと3ds Maxとの連携、3ds Max上でオブジェクトを作成、UVの設定、3ds Maxでのレンダリング
順次更新していく予定ですので、ご期待下さい。
はじめに
ZBrushの説明をする前に、現在の3DCGにおけるディテールの作成方法について説明します。3DCGにおいて作品をモデリングする場合、ディテールを詰める作業には、限界があります。例を挙げれば、人の肌のしわなどがまさにそうです。本来しわの様なくぼみは、BumpMapテクスチャを使用することによって擬似的に表現します。DisplacementMapを使用しポリゴン自体を変化させて表現する方法もありますが、しわなどの細かいくぼみは、グレースケールイメージなど使用しても、なかなかうまく表現することができません。
![]() Figure1-1 BumpMapを未適用 |
![]() Figure1-2 BumpMapを適用 |
上の画像(Figure1-1、1-2)はクリーチャ―の足ですが、BumpMapを適用した例を見てみましょう。BumpMapを適用すると、仮想的な凹凸だけが表現されます。しかしこれは実際に凹凸にはなっていないため、物体の境界では影がうまくでていません。またオブジェクトのポリゴンを変形させるDisplacementMapを適用しようとしても、これ以上サブディビジョンを上げるのは、マシンでの処理に時間がかかりすぎてしまいます。
Mayaなどの一般的な3DCGソフトでは、扱えるポリゴン数に限界があります。ポリゴン数の限界はもちろんマシン環境にもよりますが、個人のクリエータ等の場合、大体200万ポリゴン議来ではないでしょうか?これ以上のポリゴンを編集すると、ソフトが落ちたり、フリーズを引き起こしてクラッシュする可能性があります。また3DCGのソフトで200万のポリゴンの座標を移動させて、モデリングを行うのは想像以上に大変です。
Figure1-3 3ds Max上での40万ポリゴンのオブジェクト
上の画像(Figure1-3)は、ZBrushでのポリゴン数を他のソフトで再現するためにオブジェクトのサブディビジョンの値を3まで上げたオブジェクトです。ソフトは3ds Maxを使用しています。当然ですが、ビューポートは、かちかちでこれ以上サブディビジョンをあげると3ds Maxはフリーズして落ちてしまいます。これは3DCGソフトでは、基本的にビューポートの描画処理をGPUに割り振っているからです。
ZBrushとは?
今回レビューするZBrushは、上記の様な処理の重さを全く感じないソフトです。なぜなら、ZBrushではポリゴンの描画処理をGPUに投げるのではなくCPUに処理させているからです。これによって何百万というポリゴンのリアルタイム描画を可能にしており、さらにしわ等の細かいディティールを、まるで絵を描く様にモデリングする事が可能です。
![]() Figure1-4 しわ等をモデリングしたオブジェクト |
![]() Figure1-5 ZBrushでの3Dペイント |
ZBrushでは上の画像(Figure1-4)の肩の部分のしわの様に非常に細かい部分まで、まるで絵を描くようにモデリングすることが可能になっています。
またZBrushはディテールの作成だけでなくオブジェクト全体モデリング、テクスチャの作成という点でも素晴らしいソフトです。個人的にもモデリングは3ds Max、テクスチャはPhotoshopを使っていましたが、ZBrushを使い始めてからはモデリング、テクスチャ両方とも、ほとんどの作業をZBrushで行うようになりました。今までの3DCGソフトにあったモデリング、テクスチャ作成の概念を取り払ってくれます。
今回はこのレビューを通し、ZBrushの素晴らしさを多くの人に感じて頂けたら幸いです。
目次
今回のレビュー「ZBrush Review Part1」では次の内容をレビューしていきます。
- ZBrushとは?
- インストールに関しての注意
- 通常のCGソフトとは異なったGUI
- 絵を描くようなインターフェイスの「ペイントツール」
- ブラシツールを使用した、オブジェクトの作成
- さまざまな状況での処理の重さ
- ZBrush3.1より増えた、便利な機能の紹介
- 感想、総評
今回のレビューは、導入編という事で、ZBrushの最大の魅了であるスカルプティングは、今後のレビューでご紹介予定ですが、それでも「ZBrsuhってなんなの?」、「ぜひ使ってみたい!!」という人にとっては興味深い内容になると思いますので宜しくお願い致します。
次ページでは、早速ZBrushについての説明をおこなっていきます。