PSPレビュー

ああ、世の中の流れはこうも変わったんだな、としみじみ思ったのは、数ヶ月前に二万円弱の値段でプレステ2を買ったとき。
まるで映画を見るような、そんな感覚でゲームができる。
しかも諭吉が二枚あればいい。
スーパーマリオ(初代)が懐かしいなぁ・・・

それでも僕にとって二万円はでかい、とてもでかい。
でも、おかげでこんなに綺麗なグラフィックで大迫力のゲームをやれるのだから損はないか、と思った矢先に出てしまいました。
僕の諭吉をもう二枚さらっていこうとするSONYの手先が。

やつの名はPSP(プレイステーションポータブル)。
これが今回紹介するSONYの携帯ゲーム機、ソフトは「RIDGE RACERS(リッジレーサーズ)」を選んだ。

実際の感想を書く前に、まずはそのスペック。

プレイステーション・ポータブル スペック>

  • 本体色 ブラック
  • 型番 PSP-1000
  • 希望小売価格 19,800円(税込価格20,790円)
  • 外形寸法 約170 x 23 x 74mm (幅×高さ×奥行き)(最大突起含まず)
  • 質量 約280g(バッテリー含む)
  • CPU PSP CPU(動作周波数1〜333MHz)
  • メイン・メモリ 32MB
  • 内蔵DRAM 4MB
  • ディスプレイ

    • 4.3インチ 16:9ワイドスクリーンTFT液晶(480x272ピクセル 1,677万色)
    • バッテリーパック使用時: 最大輝度 180/130/80 cd/m2
    • ACアダプター使用時:最大輝度 200/180/130/80 cd/m2

  • サウンド ステレオスピーカー内蔵
  • 主なI/O

  • 主な端子

    • "メモリースティック デュオ" スロット
    • USB端子
    • 外部電源供給端子
    • 本体電源入力端子
    • ヘッドホン/マイク端子

  • キー・スイッチ類

    • 方向キー上下左右
    • アナログパッド
    • △、○、×、□ボタン
    • L、Rボタン x 1
    • START、SELECT、HOME x 1
    • POWER/HOLDスイッチ x 1
    • ディスプレイ、サウンド、音量+/−ボタン x 1
    • ワイヤレスLANスイッチ(ON/OFF) x 1
    • OPENボタン(UMD) x 1

  • 電源

  • 内蔵ドライブ 再生専用"UMD"ドライブ
  • 対応プロファイル

    • PSP Game
    • UMD Audio (プロファイル名 TBD)
    • UMD Video (プロファイル名 TBD)

  • 対応コーデック

    • Video: H.264 / AVC MP Level3
    • Audio: ATRAC3plus、MP3

  • セキュリティ

    • 暗号化方式 128bit AES
    • 著作権保護技術 マジックゲート
    • アクセスコントロール リージョン、視聴年齢制限(パレンタルロック)

  • ワイヤレス通信機能 インフラストラクチャーモード・アドホックモード(最大16台同時接続)
  • 本体同梱周辺機器

    • "PSP"専用ACアダプター
    • "PSP"専用バッテリーパック

簡単な機能説明をすると、高いグラフィック機能と高精細な液晶画面を搭載し、赤外線通信機能による通信対戦が行える(IrDA使用)。また、AV機能も豊富で音楽再生(MP3、ATRAC3plus)はもちろん動画の再生もできる。さらには、無線でインターネットにも接続できる(ただし、今のところはインターネットサーフィンはできずにソフトウェアのアップデートだけできる。将来はこれを使ったネットゲームにも対応するとのこと)。

まぁ、あまり深く考えずにとりあえず動かそう。本体右下にあるPOWERスイッチを右斜め上にスライドさせる。PSPのロゴの後、茜色の夕焼け空のようなホームメニュー画面があらわれた。・・・美しい。いや、まだゲーム本編に入っていないんだけれど。

4.3インチ、16:9ワイドスクリーンTFT液晶、480×272ピクセル、1,677万色。こんなデータだけを見たらどこのPDAだろうと思うかもしれないが、実際、ここまで高品質な液晶を使っているPDAはないのではないか。そんな贅沢な液晶に映し出されたこの単なるメニュー画面は僕にPSPの恐るべき可能性を見せつけてくれた。まずはその美しさ。パソコンの液晶ディスプレイをそのまま480×272ピクセルのサイズまで落とした感じがする。いや、まさにその通りなのだけれど。輝度も高く発色もはっきりとしているし、目立ったドット欠けも無い。これならばポータブルビデオプレーヤーとしても十二分に活躍してくれそうだ。なんかこれだけでもほしくなってきたなぁ・・・。

よし、じゃあ早速リッジレーサーズをやろう、そう思って本体上部にあるOPENスイッチを右にスライドさせ、裏面のディスクカバーを開ける。そこにガシャッとリッジレーサーズを入れた。メニュー画面のUMDにカーソルを合わせ意気込んでいたらいきなり画面が変わりリッジレーサーズのプレビューが始まった。画面右横にリッジレーサーズの紹介文がでてきてその隣にはデモが流れている。くぅ、やるなSONY。やばい、本当に買いそうだ。

はやる気持ちを抑え○ボタンを押すとPSPのロゴがあらわれジィィというUMDの駆動音が聞こえてきた。・・・これはちょっといただけないかもしれない。とりあえず静かなところでやったらかなり気になるレベルだと思う。でも騒音というわけではなく、PSPを授業中にやるというような事はまずできないだろうということである、絶対バレる。授業中にやるとかそういう場合でもない限り気にはならない。画面が暗転し「Now loading...」という文字がでてきて2〜3秒程待たされた。すると、namcoのロゴがあらわれ、次にドット絵テイストのミニゲームが始まった。追ってくる車から逃げながら画面上にちりばめられたフラグを時間内に取るというものだ。これが結構面白い(後で述べるが、ここに少々バグがあった)。とりあえずSELECTボタンを押して飛ばす。

ナムコのロゴ

ミニゲーム画面1

ミニゲーム画面2

ミニゲーム画面3




すると、これが携帯ゲームの画面か?と思うような美麗なオープニングムービーと軽快な音楽が聞こえてきた。


オープニングムービー・・・もう買うしかない!!




そして、ゲーム開始画面。「リッジレーサー」などとかっこよい英語発音の女性の声が聞こえた。・・・もうだめ、これ買うわ。と思っていたら周りで見ていた方々もこれはアツいと口々にいっておられました。うーん、みんなでアドホックモードで8人同時プレイも意外と早くできそうな気がする。

そしてゲーム中のグラフィックもすばらしい出来映え。本当にPS2でプレーしてるのとなんら変わらないくらいのグラフィック、アナログパッドも上々の反応。だけどコレ、位置がもうちょっと上側にあったらベターな感じがする、でも悪くはない。

ゲームの内容も、歴代リッジレーサーのファンならぜひ一度はプレーしてほしいもの。かつてのコースが再現されてニヤリとする人も多いのでは?
ゲームは「ワールドツアーズ」「シングルレース」「タイムアタック」の三つのモードからなっている。もちろんゲームを進めていけば新たな車体を操作できるようになったり新しいコースで走れるようになったりする。また、特典映像や静止画なども見られるようになるとのこと。で、実際に走ってみたらこれが結構難しい。軽快な歌声(英語?)が聞こえる中、CPU機が僕の進路を見事に阻んでくれる。コイツ、むかつくわ。そこでニトロの出番ですよ。一気に加速してぶっちぎって、急カーブでドリフトを決める。・・・気持ちいい、超気持ちいい。ホントにドリフトって決まると最高ですね。で、結果は4位(12機中)。ま、最初はこんなもんさ、と言い訳しつつリプレイ画面を見る。僕のしょぼい走りが再現されていくのだが、コレがどうにも感動を禁じえない出来。一言で言うならPS2版のリプレイと同じ。つまり、僕のしょぼい走りでも躍動感あふれるムービーに早変わりする。

と、まぁソフトの紹介はこれくらいにして肝心のPSPそのものについて。グラフィック能力についてはソフトの紹介の部分を見てもらえばわかると思うが、PS2と同等。いや、やはりややPS2と比べると遜色があるかもしれないが、それがあるのかないのか断言できないくらいの出来だ。

ミュージックプレーヤーとしては?

PSPの魅力はそれだけではない。いや、これだけでも十分に他のゲーム機を圧倒できるのだが、それだけではなく音楽(MP3とATRAC3plus)も再生できる。そこで実際にMP3の曲を入れてみた。曲の入れ方はいたって簡単、PCにUSB接続して普通にドラッグオンドロップ、本当に普通のメモリースティックと変わらない。で、早速メニュー画面からミュージックのアイコンにカーソルを移動して○ボタンをぽちっと押す。すると今入れた曲名があらわれた。○ボタンをぽちっ。すると聞こえてきました、みんなが知ってるあの名曲が。いえ、この際曲名はどうでもいいんです。とにかく、いとも簡単に音楽をPSPに保存することができました。で、音質ですが、残念ながらこれはあまり良くない。もとの音楽が劣化しているわけではないので、これはスピーカーが悪い。まぁ、携帯ゲームの小さなスピーカーだからこれは仕方がないのかもしれない。とはいえ、劣化しすぎて歌詞が何を言ってるのか全然わからないということではまったくなく、単にちょっとこもった感じに聞こえるだけである。でもやっぱり観賞用としてはややきつい。しかし、根本的にこれはポータブルミュージックプレーヤーなのでスピーカーの悪さはヘッドフォンを使えばまったく問題なしである。いやむしろ、それ自身がスピーカーを内蔵しているという点でその他のプレーヤーよりもメリットが大きい。で、プレーヤーとしての操作性なのですが、十字キー左を押すと巻き戻し、右を押せば早送り。△ボタンを押すとメニューが開いて一通りのプレーヤーとしての機能を利用できる。また、付属のヘッドフォンのリモコンでも同様に操作可能だ。この辺は他のプレーヤーと大差ない感じがした。

ビデオ機能

また、PSPは動画の再生も出来る。この辺、「大人向け」っぽい機能であるが広く一般の人にも使われるようにする意図が見受けられる。基本的にメモリースティックに入れたMPEG4形式の動画を再生するものだがそのサポートする動画の画面サイズがPSPの液晶サイズの480×272ピクセルを超える720×480ピクセルまで備えているということ。これにはなんらかのUMDを用いた拡張機能を想定しているのでは?という邪推を起こさせる。でも、まぁしかし、今のところは単にMPEG4が再生できるだけのようだ。そこで実際にMPEG4動画を無料の変換ソフトを使ってaviファイルからつくってみた。SONYから純正のMPEG4変換ソフト(有償)がでるらしいが、この無料ソフトでも十分いける。肝心の画質であるが、これは変換方法や画質データそのものに多く依存するために一概には言えないが、基本的には再生するビデオチップも液晶も先述の通り、かなりハイスペックなものを備えているので動画データそのものによるが、確かにPSPのうたい文句にもある「最高でDVDビデオ並みの動画再生」も可能ではないかという印象を受けた。ま、「PSPの」というより「MPEG4の」といったほうが正しい気もするが・・・

ネットワークとアドホック

ネットワーク接続はIEEE802.11bでつなげることが出来る。だが、今のところ対応しているのがWEPかまたは無暗号通信のどちらかしかなくちと厳しいところ。しかし、ネットワークアップデート機能があるのでいつかはほかの暗号通信も対応すると思う。そこら辺はまだまだな感じがした。これからに期待。また、ネットワーク接続ではアップデートのほかにゲームデータのダウンロードやファームウェアなどの更新もでき、将来はオンラインゲームにも対応する予定らしい。アドホックモードでは最大16人までのプレーヤを同時接続できるらしいが、最初はそんなにつなげても意味ないと思った、が、通信距離が通常で約30メートルもあり街中や電車の中での共同プレーもありうることを考えるとこの数字もなかなか的を射たものに思えてくる。というよりオンラインゲーム以外でそんな大人数でひとつのゲームをシェアしあうというのは新しい感じがしてなにかアツいものを感じる(僕だけ?)。

バッテリーと重量

持った感じは結構ずっしりしているがそんなに重くない、バッテリー含めて280g。バッテリーはリチウム電池を採用していて充電式。フルに充電して四時間くらいは普通に遊べた。PDAとかと比べると多少大きい感じがする。大きいポケットなら何とか納まるけど普通サイズのポケットではちょっと収まらない。それも液晶画面の大きさ故なのだけど。マルチメディアな情報端末としては及第点だと思う。

欠陥

物理的な欠陥を見つけてしまった。それはPSP本体を捻るとUMDが飛び出ること・・・。なんかすごくいいハードなだけにすごく残念。
また、リッジレーサーズでもミニゲームを二面までクリアしてからゲーム本編に入るとミニゲームのBGMが鳴りっぱなしの状態でサーキットを走るハメになる。もちろん、本来流れるBGMもオーバーラップしながら・・・
あともうひとつ、これが一番重要な問題なんですがとにかく画面に手垢や誇りがベッタリ!これはどうにかならんものですかなぁ・・・

買ってすぐにこうなった・・・拭いても落ちない(泣)

総評

まぁ、僕はSONY信者ではないのですが、これに関しては諸手を上げて大絶賛です。正直、ここまでのものがこの値段で出来るとはまったくもって驚きであり予想外でした。携帯ゲーム機としては間違いなく過去最高の出来です。マルチメディア情報端末としてはやや大きさや機能(たとえばどうせならTVも見れるようにしてほしかった、とかAV出力も備えてほしかったとか)に難がありますが、買って損のない逸品であると思います。ゲーム好きの方もハイテク好きのかたも是非。