今回は、携帯電話上で動作するMacromedia Flashの概要について紹介したいと思います。
Macromedia Flash Lite
Flash Liteは、携帯端末向けのMacromedia Flash。DoCoMo 505i シリーズに初めてMacromedia Flash Lite 1.0が搭載され、それ以降の端末ではFlash Lite 1.1が搭載されたものもあります。現在のところFlash Lite は、Flash 4に近いプロファイルとなっており、公式にはFlash 5 のオブジェクトと、セキュリティや利便性から制限はあるもののFlash 4 の ActionScript を取り扱うことができるということになっています。
以前までのGIFアニメーションを使った待ち受けや広告より更に高度なもの、HTML上でのインタラクティブコンテンツなどといったものが考えられます。またFlash Lite 1.1ではMacromedia Flash MX 2004 Proが必要になるものの、
なども追加されています。
制作に必要なもの
- Flash MX 、Flash MX 2004のどちらか
- Flash Lite 用 Macromedia Flash MX アップデータ
- Flash Lite 1.0以降に対応した端末
端末が用意できない場合、DoCoMoから配布されているiモードHTMLシミュレータを使ってPC上で確認することもできます。
アップデータとCDK(デベロッパーキット)はMacromediaからダウンロード可能です。
Macromedia モバイル&デバイスデベロッパーセンター: i-mode
仕様
ファイルの扱い
DoCoMoではswfファイルは、ダウンロードによってのみ利用可能。外部メモリーカードなどを使ったインポート、エクスポートはできません。ブラウザ、待ち受け画面、保存した画像として再生できます。一端端末に保存したコンテンツは、キーイベントを受け付けなくなるなどの制限もあります。
また、赤外線やBluetoothを使ったファイルのやりとりも現在のところ不可。
再生方法
外部メモリーカードを使ったインポートができない端末では、携帯電話上で表示するためにHTML上に埋め込む必要があり、Flash Lite ではその中でも2種類の再生方法があります。
- インライン再生
- HTML内にアニメーションGIFなどのように配置する、ただしキー操作は受け付けない。
- インタラクティブ再生
- Flashコンテンツのみを全画面表示し、HTMLでは実現できない高度な表現ができる。作り方によってはゲームなどもできます。
キー操作
- 上下キー
- 決定キー
- ダイヤルキー(0-9,#,*)
フォント
Flash Liteにはデバイスフォントというものが用意されている。 通常のフォントとデバイスフォントの違いは
- 通常のフォント
- サイズも自由に設定でき、アンチエイリアスがかかる。ファイルサイズが大きくなる。 処理が重くなりフレームレートに影響を与える。
- デバイスフォント
- 各端末に1種類ずつ内蔵されているフォント。サイズ変更不可。ファイルサイズを抑えることができる。軽い処理。
表示サイズ
Flash Lite に対応した端末はほとんどがQVGA(320x240)以上の解像度を持つディスプレイを持っており、今までのような端末による細かい差がない。
240 x 240 (縦 x 横)の表示が可能
利用可能なメモリ
- 505i,506i : 200KB - 300KB
- 900i : 1000KB - 1024KB
ファイル容量
- 505i - 20KB
- 900i - 100KB
オーディオフォーマット
Flash Lite 1.0ではMFiとSMFがサポートされておりMFiでは各端末向けのファイルを作成する必要がある。
swfファイルの制作
実際に端末で表示できるものを作ります。
- キーイベントもアクションスクリプトもなしの簡単なオブジェクトを表示する。
- testと一文字ずつ順番に表示させてみる。
環境
Macromedia Flash MX
- まずFlash MXを起動します。
- 端末のディスプレイにあわせた解像度設定をします。
- ドキュメントプロパティから(幅)240px(高さ)240pxに。フレームレートは10程度に設定しておきます。(505iシリーズでは5fps,900iシリーズでは15fps程度)
- パブリッシュ設定からバージョンをFlash Lite 1.0に(Flash 4以前のバージョンでも可)
- 実際にテキストを挿入してみる。
- 書き出し。
今回再生できたswfファイル
コンテンツの利用方法
- 作ったファイルを実際に再生できるか試してみる
- 下の画像のswfliteを使って端末ごとに最適化する。
- プログラムが起動します。
- 変換する端末の情報を持つtxtファイルを編集する。
- txtファイルにしたがって各端末ごとにのファイルが生成されました。
- i-mode HTMLシミュレータで再生する。
- 実際の端末で再生する。
最後に、実際の携帯電話上で再生してみてください。
出来たswfファイルをhtml内に配置すれば再生できます。
総評
Javaアプリケーションと比べると、機能が制限される(FL1.0ではネットワーク接続不可)、コンテンツ制作の環境を無料で整えることができない、再生できる端末が少ない、など不利な点が目立ちますが、auやDoCoMoなどのキャリアが対応端末を出し続ける限り面白いコンテンツも増えそう。ブラウザ上ではムービーより扱いやすい、ベクター形式でディスプレイの進化に柔軟に対応できる、OSやデバイスに依存しないといった利点も多く、今後もしばらくの間広く使われていくでしょう。 アイディア次第で色々な使い方があるので、触れたことのない方も待ち受け作りの感覚で初めてみると楽しいかも知れません。