Shag:Hair 開発元:Digimation 価格:6,5000yen |
Kudo |
0.始めに |
3d studio MAX には色々なプラグインがありますが 私がファイナルレンダーと同じ位 よく使うのがこのプラグインです。人や動物の毛、草原の草や木々の葉の作成などに非常に使えるツールです。髪を作成するツールでは他に Maya
Unlimited に搭載されている Maya Hair や SOFTIMAGE|XSI v.2.0 の Fur/Hair などがありますね。 Shag:Hair
はテクスチャによる毛の色、生える範囲のコントロールや、髪型のコントロール機能、ダイナミクスアニメーション機能も搭載しています。 比較する為に、透明度マップによる毛髪を試しに作ってみました。
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平面にテクスチャを張り、ベンドなどで髪の流れや生え方にそって変形、貼り付けて作った髪がこちらです。
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確かに、髪の方向性、流れや量、形は自分の思い通りに出来ます。しかし本物の髪の様なランダムさや髪が作る影、ハイライトのキャスティングやレシービング効果には欠けているのも事実です。自分がシャグヘアを使っていて感じるのは透明度マップに比べてレンダリングが速いという事です。透明度マップによる方法では髪の量が増えるとそれだけポリゴン数も増えてしまうのでデータ量が大きく、レンダリングに時間がかかるという問題点を含んでいます。また、アニメーションする時の髪に対する物理計算は、手付けでは不可能です。
今回はシャグヘアを使ってこの女性のキャラクタの髪を作る事にします。
1.エミッタの設定 [Shag:Hair] |
まず、シャグヘアは大きく分けてエミッタとモデルヘアから成り立っています。「エミッタ」を髪が生えている「頭」とすると、「モデルヘア」は「髪」になります。
髪の生える場所のポリゴンを別オブジェクトしてにエミッタに指定します(キャラクタに直に髪を生やす事はポリゴン数と髪の密度の関係があるのでしない方が◎)。キャラクタとは別オブジェクトにする事で計算時間をより確実にします。
環境 > Shag:Hair > Emitters の設定で、Face Level でWhole Objectに設定しました。この設定によって、オブジェクト全体か、または選択したポリゴンだけをエミッタにするかをユーザが自由に設定出来るのはとても便利です。1つのShagに対してエミッタを複数選択できる事、独立したShagを容易に複数設定できるのは非常に使いやすいポイントだと思います。
2.モデルヘアを作る(1) |
次に、髪全体の流れをコントロールする役目のモデルヘアを作っていきます。シェイプ > スプライン > ラインでとりあえず1本作ってみました。このラインのスタックにModel
Hairを積んで、これをPickしてやるとウィンドウに ShagViewと名前のついた複数の青いラインが出来ました。これによってウィンドウ上でリアルタイムに髪の流れを確認出来るのも使い易い工夫がされている点であると思います。
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とりあえず、デフォルトのままでまずレンダリングしてみたのがこちら。 | ![]() |
3.モデルヘアの設定(Parameters)(1) |
アバウトですが、髪が生えたのを確認出来たのでもっと髪らしい」設定をしてみます。Parameters ロールアウトでは
・長さのランダムさ
・髪の密度
・髪の太さ
・髪のうねり具合(ストレート or カール)
・髪のまとまり具合(タイト or ルーズ)
などをここで決定します。
ストレートでサラサラした髪の質感にするために Thicknessを髪の根元<毛先にするとこんな感じ。
4.モデルヘアを作る(2) |
全体的な髪の流れを決定するためにモデルヘアを増やしていきます。モデルヘアの作るベジエラインに向かってエミッタからヘアは生えるので、ラインを作る場所、方向、補間のされ方を考えながら最小限のモデルヘアを作るようにします。
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頭髪全体の髪の流れができたので髪の密度を増やしてみます。髪の密度はポリゴン数に大きく関係するのでエミッタ自体にメッシュスムーズを多めにかけました。 | ![]() |
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レンダリングの時間の関係もあるので髪の密度と形のバランスは具合を見ながら進めていきます。レンダリングするとこうなりました。 |
5.モデルヘアの設定(Parameters)(2) |
作られたヘアの長さが均一なせいでバッサリとした感じがあり、この時点ではまだ不自然な感じです。髪の長さにランダムさを与えます。
Random Factorにどの程度毛先のバラつきを与えるかで適当な値を入れてやります。デフォルトのMaximum = 1.0は[最長=モデルヘアラインの長さ] となります(ランダムさを与えると髪の長さが全体的に短くなるのでライン自体の長さは長めにしておくといじりやすいです)。 |
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次に髪のまとまり具合を調節してみます。実際の髪には毛先の広がりやまとまり具合を与えてやると実際のヘアに近くなります。 |
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これらパラメータの値を変えてレンダリングするとこうなりました。 |
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6.モデルヘアの設定(Shading, Geometry, Quality) |
Shading, Geometry, Qualityロールアウトの Colorで髪の色を設定をします。ここではTip とBase別に色の指定ができます。 |
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次に髪のまとまり具合を調節してみます。実際の髪には毛先の広がりやまとまり具合を与えてやると実際のヘアに近くなります。 |
7.便利なモデリングカッター(Objects, Copy/Paste, Load/Save) |
他に便利な機能としてはモデリングカッターというものがあります。これは、例えばオブジェクトの平面をCuttersで選択してやると、この平面により遮られた部分から先の髪をカットしてくれる、ハサミのようなツールです。
ただし、モデリングカッターで切った毛先にはRandom Factorは与えられません。切り口は切り揃えられたままなので、あくまでカットのみの機能となります。
試しに前髪をカットしてみます。ロールアウトで平面をselectしてやります。 |
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これでカットを行うとこんな風になりました。 |
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ちなみにデフォルトの設定ではCurliness はアクティブになっていないのでストレートです。ここで試しに適当な値を入れてカールさせてみたらこうなりました。(ファンキー!)
Radius とTurns の値を変えてやる事でカールの大きさや周期を詳しく設定できるのでより広い表現が可能です。 |
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レンダリングの設定 [Shag:Render] |
今の時点では髪が落とす影はまだ性格に計算されていません。
髪用の影をつくるためにShag:Renderで設定をしていきます。 シーンに存在するすべてのライトに対して影の計算をさせる為に、ロールアウト中の Light Conversion から Enabled Lightsを選択します。これによりライトはシャグヘアをレンダリングするための変換が可能になりました。 |
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こうしてレンダリングしたものがこちららです。未設定の時と比べると全体的に影が落ち暗めになりますが髪に立体感が増すのが分かります。 |
感想 |
使いやすい点 |
・レンダリングが速い
・規則的、ランダムなオブジェクトの作成や物理計算には便利
・パラメータの値を変えるなど設定や操作が簡単
もっとこうだと良いなと思う点 |
・ヘアスタイリング効果の追加:
今回、髪型を作る為のモデルヘアの作成は手探り、感覚的であったと思います。デフォルト的な髪型のライブラリのようなものが用意され、それを元にしてラインの補間が行われればもっと使いやすいはず。毎回、前髪や全体的なバランスで手間取ってしまいます。具体的に言うと、MAYA
Hairのようなコンストレイントを使ったヘアスタイリング効果に近いものがあるとより意図した複雑な髪型も作りやすいのではないでしょうか。
・モデリングカッターによる髪の切り口に、ランダムファクターの適用:
カッターを使う事でモデルラインに依存した髪のコントロールよりさらに手軽に思い通りの形が得られるのでは?
総合評価 |
Maya Hairと比較してしまうせいか、個人的にはこうなりました。
操作の簡単さ:★★★★★
レンダリング時間:★★★★☆
コストパフォーマンス:★★★☆☆
満足度:★★★☆☆