ZBrush Review part3(1)

ZBrush Review part3

ZBrushはオブジェクトの作成、編集や、静止画の作成などの機能が主として考えられていますが、実際には他のソフトとの連携機能もきちんと実装されています。

この連携機能を利用しますと、ZBrushと他の3DCGソフト(Maya,3ds Max,LightWave等)を併用してオブジェクトの作成を行うことが出来ます。

他の3DCGソフトとの基本的な連携方法はオークのZCLASSROOMで公開されていますので見てみましょう。

ZCLASSROOMのページで公開されているチュートリアルムービーを見ると分かる通り、ZBrush3ds Maxに限らず、オブジェクトファイル形式(.obj)を使用してMaya、LightWaveと言ったオブジェクトファイルを扱える3DCGソフトと連携して使用することが可能です。

最終回となる今回のレビューでは、この機能を利用して著者が愛用しているソフト 3D Studio Max(以下、3ds Maxと表記)と、ZBrushを連携して作品の制作を行っていきます。

今回のレビューの内容は以上です。

  1. 3ds maxを使用してのモデリング、UV展開
  2. ZBrushを用いてのスカルプティング
  3. ZBrushを用いてのテクスチャの作成
  4. Normal Mapの作成
  5. 3ds Maxを用いてのレンダリング

3ds Maxでのオブジェクト作成

まず、ベースとなるオブジェクトを用意します。早速、モデリングをしてオブジェクトを制作していくのですが、今回のレビューで使用するオブジェクトは、3ds Max、ZBrush両方を使用してモデリングします。


Figure1-1 今回使用するオブジェクト

なぜ今回、両方のソフトを使用してオブジェクトのモデリングを行うのかと言いますと、それぞれのソフトにモデリングを行う際の、得手不得手な分野が存在するからです。例を挙げてみますと、ZBrushでは下の画像(Figure1-2)のようなオブジェクトの入り組んだ部分を作成するは難しいです。しかし、3ds Maxを使用した場合、画像のような部位は簡単に作成することが出来ます。

今回のモデリングでは、ベースとなる部分を前回のレビュー「ZBrush Review part2」で紹介しましたZSphereを使用して作成し、ラインの修正、細かな部分の制作は3ds Maxを使用して修正を行い作成しました。モデリング時においての作業量の比率は、ZBrushが3割、3ds Maxが7割程度でした。

また、それぞれのソフトで得意な分野を担当してモデリング行ったので、3ds Maxだけでオブジェクトを製作した時に比べて、短い時間で容易にオブジェクトを作成することができました。


Figure1-2 オブジェクトの入り組んだ部分

また、モデルを作成する際はFigure1-3のように、「オブジェクトの半分を作成 -> ミラーツールを使用して反対側を補完」という方法で作成しました。


Figure1-3 オブジェクトの制作方法

以上で、ベースとなるオブジェクトの基本的なモデリングが終了しました。この後は早速ZBrushにオブジェクトをエクスポートしてスカルプティング、と行きたい所ですが、その前にオブジェクトのUV展開を行う必要があります。

なぜ、エクスポートを行う前にUV展開を行う必要があるのかと言いますと、ZBrushではオブジェクトのUV展開の作業が行えないからです。ZBrushには自動でオブジェクトのUV展開を行ってくれる[GUVTiles]と言う機能が存在します。但し、GUVTilesを使用した場合は展開されたUVが汚く、UVマップがオブジェクトの形から大きく離れてしまうため、後でテクスチャを編集するのが非常に困難になります。ですから、UV展開の作業は3ds Max上で行う必要があります。

また、UV展開を行わずにこのままZBrushにオブジェクトをエクスポートして作業を進めてしまいますと、ZBrushでの作業内容が無駄になってしまう上、Photoshopなどのペイントソフトを使用してテクスチャを作成する際に、ガイドが乱れているため、テクスチャに上手に色が塗れずに非常に手間が掛かります。

3ds Maxを使用してのオブジェクトのUV展開

先ほどのことを踏まえ、早速オブジェクトのUV展開を3ds Max上で行っていきましょう。

オブジェクトのNormalMapを作成する際のUV展開は、「UVを奇麗に歪みなく展開する 」という点では、従来のUV展開と変わりません。

但し、NormalMapを作成する場合はUVの設定がうまく行われていないと、陰影の情報が反転してしまうことがありますので注意が必要です。

ここでは、UV展開を行う方法、注意点について説明します。

初めに、先ほど述べました通り普段のUV展開と同じようにUVを歪みの無いように展開していきます。またオーバーラップ(UV上でポリゴンが重なっている状態)がある場合、全部無くしていきます。オーバーラップした場所が残っていますと、NormalMapが作成できません。Figure1-4は先ほどのオブジェクトのUVマップです。


Figure1-4 オブジェクトのUV

今回は全身のUVを一枚のUVマップに集約しました。全身のUVを一枚のマップにまとめますと、細かなディテールをテクスチャに保持することができます。全身のUVを一枚ではなく複数に分割することも可能ですが、複数に分割してUVの作成を行った場合、UVの切れ目に誤差が発生することがありますので注意が必要です。今回は、最終的に800×600とそれほど高い解像度でレンダリングを行う予定ではないので、全身の一枚に集約しました。また、UVを奇麗に展開し終えたら、オブジェクトにFigure1-5のような少し変わった模様のテクスチャを使用しましょう。


Figure1-5 確認用のテクスチャ

なぜこの様な画像を使用するのかと言いますと、Figure1-5の矢印の様に特殊な模様のテクスチャを使用することによって、オブジェクトのUV座標が左右、上下、どの方向を指しているのかが一目でわかるからです。また、従来のテクスチャのようにゆがみも簡単に発見できます。

それでは、このテクスチャをオブジェクトに適応してみましょう。


Figure1-6 テクスチャを適応したオブジェクト

Figure1-6は先ほど作成したオブジェクトに、Figure1-5のテクスチャを使用したものです。画像を見ると分かる通り、テクスチャがオブジェクトの中央から反対になって適応されています。これは、オブジェクトを作成する際に[オブジェクトの半分を作成]->[ミラーツールを使用して反対側を補完]と言う方法で作成したからです。一見、UVが奇麗に適応され完璧だと思われますが、この状態では、ZBrushでNormalMapを作成した際に陰影の情報のフリップ、オブジェクトの中央での切れ目の発生、など問題が発生する可能性があります。このままの状態ではまずいので、上記の問題が解消されるように、どの個所の矢印も右側が青、矢印が上を向くようにUVマップを修正しましょう。


Figure1-7 UVを修正したオブジェクト

Figure1-7の様に、どの方向から見てもオブジェクトの矢印の右側が青色になり、どの矢印も上を向くように修正しましたら、オブジェクトのUV設定は終了です。このように、矢印型のUVチェッカーを使用しますと、NormalMapを作成した際に陰影のフリップがほとんど起こりません。

3ds Max上でオブジェクトのUV設定が終了しましたら、オブジェクトをZBrush上でスカルプティングが行えるようにオブジェクトファイル形式(.obj)でエクスポートしましょう。


Figure1-8 オブジェクトのエクスポート

3ds Maxでオブジェクトのエクスポートを行う場合、エクスポートするオブジェクトを選択し、[ファイル]->[選択の書き出し]を行います。

[ファイル]->[書き出し]でオブジェクトの書き出しを行ってしまいますと、シーンに存在するすべてのオブジェクトが一つのファイルとして扱われてしまいます。

3ds Maxからオブジェクトのエクスポートが終了しましたら、以上で3ds Max上での作業が一通り終了しました。

次のページからは3ds Maxでの作業から離れ、ZBrushでエクスポートしたファイルを読み込み、ディテールの作成を行っていきます。

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