ETC Review
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By Hirofumi Kasagi

目次

◆ モチベーション

  1. Image Based Lighting
  2. HDRIを作るのに何が必要か?

◆ マテリアル

  1. 材料
  2. 道具

◆ 作り方

  1. L字フレームの取り付け
  2. 垂直雲台の作成
  3. 水平計の取り付け
  4. 円形アクリル板の作成
  5. 鏡面用お玉の取り付け
  6. FISHEYE’S MIRROR の組み立て方

◆ 使い方

  1. 撮影方法
  2. HDRIの作り方

モチベーション

IMAGE BASED LIGHTING

コンピュータグラフィックの世界には、Image based lighting (以降 IBL)という技術があります。周囲の景色全体を光源と考えて、3次元空間内の物体の明るさを決める手法です。この時、周囲の景色をHigh Dynamic Range Image (以降 HDRI) という画像から生成する所に特徴があります。まずは下の4つの写真を見比べてください。


左上はIBLを使わず、コンピュータで光を計算した画像です。
この画像を基準にして他の画像を見てみましょう。

右上、右下、左下はそれぞれ背景に写っているHDRIをIBLに使用して作った画像です。
まずは右上の画像、よく見てみると空の青が物体の影に反映されています。
そして、他の画像も、夏の新緑の緑や、秋の落ち葉の赤がそれぞれの画像に反映されています。また、どの画像も手前の床と物体を、後から背景に合成したものなのですが、ほとんど違和感なく合成されています。
これらの画像の特徴は、すべてIBLによる効果です。

現在、このIBLの技術はリアルなCGを作る上で欠かせない、便利で重要な手法の1つになっており、また、それに伴ってHDRIの必要性も高まってきています。

さて、このIBL用のHDRIなのですが、実はCG関連のソフトを扱うお店で売られています。
また、一般向けではありませんがHDRI撮影専用の機材も販売しています。
ですが、こういった特殊な用途に使用する素材や機材は、需要の低さと、また販売する方も個人向けではなく企業や研究機関向けに扱っているので、値段も非常に高く、少量での入手ができないことが多いです。
さらに、もし特殊で限定的なHDRI、例えば自分の部屋、家のキッチン、近所の公園、など一般には販売されそうもない場所のHDRIがどうしても必要な場合は、自分で撮影するしか方法がありません。

では、これらのIBL用のHDRIを、自分達で作ることは可能なのでしょうか?
答えは可能です。
実は、上のIBLに使用した3枚のHDRIは、自分で撮影し作成したものです。
商業用の高精度、高解像度のHDRIに比べれば見劣りしますが、それでもちゃんとIBL用のHDRIとして使用できています。
しかも、撮影用の機材も、安価な値段で自分で作成した物を使っています。

つまり、IBL用HDRIは原理と条件さえ理解すれば、誰でも作ることができるのです。

HDRIを作るのに何が必要か?

初めにも書きましたが、IBLとは、周囲の景色全体を光源と考えて、3次元空間内の物体の明るさを決める手法です。

では、どのようにしてこの様な写真を撮影したらよいのでしょうか?
一般には「魚眼レンズ」を使う方法があります。魚眼レンズとは、通常のレンズよりもより広い撮影範囲を持つレンズのことです。よって、魚眼レンズを装着したカメラを地面に垂直に置き、その上で撮影すれば、IBL用のHDRIとしては十分な写真が撮れます。

しかし、この方法も非常にお金がかかります。
なぜなら、魚眼レンズもプロ向けの道具なので値段も安くはありません。
またそれらは、一眼レフカメラのみにしか装着できないものが多いです。

ではどうすればよいのでしょうか?
実は、ここで重要なのは物体の周囲を撮影するという事です。
先ほどはカメラに魚眼レンズを装着し、物体を直接撮影するという方法でしたが、その逆で、間接的に撮影するという方法はどうでしょうか?
例えるなら、鏡に映った像を撮影するという方法です。

そう、"Fisheye’s mirror" はこのアイディアを元にしています。
カメラを垂直に置き、その上に半球の鏡を設置し、そこに映った周囲の景色を撮影する。
この方法なら、魚眼レンズを購入するよりも、より少ない資金でIBL用HDRIを生成するための写真が撮影できます。

マテリアル

材料

材料名 サイズ
[A] 水平計  
[B] L字ステンレスフレーム (短) 40×40mm
[C] L字ステンレスフレーム (長) 40×200mm
[D] おたま 360ml
[E] 天然ゴムシート 1×150×150mm
[F] アルミ板 1×100×300mm
[G] アクリル板 (透明) 3×180×320mm
[H] 蝶ナット W1/4
[I] ワッシャー W1/4
[J] メッキ押しネジ W1/4×20
[K] 金属磨きクロス  
[L] コンバージョンレンズアダプター LAH-DC20 (PowerShot S3IS用)
[M*1] 今回は使用しませんでした  
[N] 平頭ネジ 6×60mm
[O] 六角ナット 6mm
[P] 四角ナット 6mm

道具

  道具名
[1] Pカッター
[2] ハサミ
[3] プラスドライバー
[4] ハンドのこぎり(金属用)
[5] ハンドドリル
[6] 瞬間接着剤
[7] ドリル刃(6mm)
[8] 金属用ヤスリ
[9] 油性マジック
[10] ボールペン
[11] コンパス
[12] セロハンテープ
[13] 三脚
[14] デジカメ

作り方

L字フレームの取り付け

1a.三脚から雲台の部分を取り外します。

1b.カメラを固定するためのネジを、雲台から外します。このネジは後ほど使用するので、無くさないように保管しておいてください。
1c.押しネジにワッシャーを通して、先ほどの穴に差し込みます。

1d.押しネジの先を、L字フレーム(長)の短い方の穴に通します。
次に2つ目のワッシャーを通して、蝶ナットでしっかりとこれらを固定してください。

垂直雲台の作成

2a.アルミ板を、縦80mm(緑のライン)、横100mm(オレンジのライン)にカットします。
2b.金属ノコギリで切った後のアルミ板は、角がささくれ立っています。
このままでは、大事なカメラを傷つけたり、手や腕などを怪我してしますので、金属ヤスリをかけて滑らかにします。

2c.ゴムシートを、先ほど切り出したアルミ板の大きさに合わせてカットします。

2d.ゴムシートとアルミ板の接着面を奇麗にしたら、ゴムシートの淵に、薄く、図のように瞬間接着剤を塗ります。
接着剤が乾かない内に、素早く、かつ正確にアルミ板を重ねます。
重ねたらはみ出した接着剤に注意しつつ、上に重しを乗せて、しばらく放置します。

2e.ゴムとアルミが完全に接着したら、今度は図のように、縦、横の二等分線を引き、板の中心を書き込みます。
あくまで目印なので、自分で確認ができる程度で大丈夫です。

2f.ハンドドリルに芯(6mm)を装着します。
先ほど付けた目印に先端を合わせ、慎重に穴をあけます。
アルミを貫通し、ゴムシートの表面に凸が見えたらそこでいったん作業を止めます。
2g.穴の大きさに合わせてゴムシートの表面をカットします。
そして、今度はしっかりとドリルの芯を貫通させます。
2h.このアルミ板をL字フレームの長い方に、瞬間接着剤で固定して、しばらく乾燥させます。

今回は、カメラの大きさを考えて上から2番目の穴に合わせましたが、使用するカメラによって取り付ける位置を調整してください。

2i.裏側から見た写真です。

水平計の取り付け

3a.水平計を追加します。
もし、お使いの三脚に水平計が付いている場合は、新たに追加しなくても大丈夫です。
3b.まずは、L字フレーム(短)に瞬間接着剤を塗り、水平計を取り付けます。
3c.次にL字フレーム(短)とL字フレーム(長)の穴の位置を合わせて瞬間接着剤で固定します。
接着部分が乾くまで、L字フレーム(短)手で押さえておいておいてください。
3d.水平計の取り付けは完成です。
お好みでもっと正確な水平計に変えてみても良いかもしれません。

円形アクリル板の作成

4.カメラアダプターの縁に沿って、マジックで円を書きます。
なるべく切る個所を少なくしたいので、四隅に置いて書くと効率的です。

4b.Pカッターを使って、四角くアクリル板を切り出します。
アクリル板の表面に傷がつくと、写真にゴミや傷が写ってしまうので、慎重に作業してください。

4c.切り出しが済みました。
しかし、この円はカメラアダプターの縁をなぞって書いたものなので、中心がどこかわかりません。
そこで、今回はコンパスを使って円の中心を求めたいと思います。

4d.先ほどと同じように、今度は紙に円を書きます。

4e.円周上の任意の点から、図のようにコンパスを回転させ、円弧が円と2点で接するように半円を描きます。

先ほどとは別の点から、同じように2つ目の半円を描きます。

半円2つは、必ず2点で交差します。
もし交差しなかった場合は、コンパスを広げて、交差するように半円を描きなおしてください。

4f.半円の交差した2点を通るような直線を引きます。

同じ作業をもう一度行います。

すると円の中に直線が2本引かれ、必ず1点で交差し、そこがこの円の中心となります。

4g.中心を求めた円をガイドにしながら、アクリル板に中心を書き写します。

中心を求めたら、アルミ板の時と同様に、6mm芯のドリルで穴を空けます。

アルミ板と違って、アクリル板はヒビが入りやすいので、慎重に作業します。

4h.このままカメラアダプターに接着してもいいのですが、いくら透明とはいえ、撮影時にアクリル板の四隅が写真に写ってしまいます。

4i.まずは、Pカッターを使って大きめに四隅を切り落とします。

細かい作業なので、手を切らないように注意してください。

4j.これ以上はPカッターでは切り落とせないので、今度はやすりを使って凹凸を滑らかにしたいと思います。
4k.四隅を研磨するついでに、先ほど中心に空けた穴も研磨しておきます。
4l.ここまでの作業で、指紋や、細かい傷が付いている場合、柔らかい布や、図のような金属磨きクロスで擦るときれいになります。

鏡面用お玉の取り付け

5a.先ほど切り出したアクリル板に、平頭ネジ(6mm×60mm)を通し、ワッシャー、六角ナットをはめて、しっかりとアクリル板を固定します。
5b.レンズアダプターの縁に瞬間接着剤を塗り、ずれないようにアクリル板を接着します。
この時、接着する面に注意してください。
5c.正しく接着すると、図のようになります。
5d.ミラーボールの代わりとなる、お玉を準備します。まずはハンドのこぎりで柄の部分を切断します。

5e.中心にドリル(6mm)で穴を空けます。

滑りやすいので注意して作業してください。

5f.仕上げに、金属磨きクロスで表面をピカピカに磨いてください。

5g.平頭ネジに、もうひとつ六角ナットを取り付けます。

取り付け位置は、カメラの焦点距離に合わせてご自分で調整してみてください。

もしネジが短くて、レンズからお玉がはみ出してしまう場合は、もっと長いネジを探してみてください。

5h.横から見ると図のようになります。
5i.最後に、お玉の裏からもう1つのナットで固定して完成です。

FISHEYE’S MIRROR の組み立て方

6a. カメラアダプターをカメラにセットします。

6b. 次に、三脚に付属していたネジを使って、カメラをL字フレームに固定します。

6c. もし、カメラとL字フレームの間に隙間があくようでしたら、ワッシャーを数枚挟んで、調整してみてください。

6d. おめでとうございます。

これでXXの完成です。

それでは早速撮影してみましょう。

使い方

撮影方法

撮影の際には、焦点距離(ピント)に注意してください。
カメラに主導ピント合わせの機能がある場合は、そちらを使用した方が正確にピントが合わせられます。

もしこの機能がない場合は、接写モードを使用してください。
ただし、オートでピントがうまく合うまで何回か試す必要があるかもしれません。

ISO値が設定できる場合には、なるべく低めの値に設定します。
これは鏡面を撮影するため、どうしても通常の景色を撮影するよりも全体が明るくなってしまうためです。

撮影の際に、撮影者が写りこんでしまうことはよくあります。
解決策としては、タイマーを使用する方法と、カメラの死角部分である真下(三脚部分)に身を隠しながらの撮影する2つの方法があります。

画像サイズは最大、もしくはその1つ手前の設定を推奨します。
高解像度の写真を使ったほうが、きれいにIBLできる場合が多いからです。

写真からHDRIを作成する場合は、カメラの露出補正を数段階変えて撮影する必要があります。最低で2枚、露出を変えて撮影した写真があればHDRIは作成できますが、使用する枚数が多ければ、より正確なHDRIが作成できます。
自分は通常、-2, -1, ±0, +1, +2 の5枚からHDRIを作成します。

HDRIの作り方

HDRIを作成するには、撮影した写真をHDRI作成用のソフトを使用します。

現在、有料、無料を含め何種類かのソフトが公開されています。
有名なところでは、Photoshop (CS2以降)、HDRI Shop などがあります。

また、インターネットの検索エンジンを使用すると、それぞれのソフトでのHDRI作成方法を解説したものがありますので、今回はソフトを使った詳しいHDRIの作成方法は割愛させていただきます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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